現代病ともいえるアトピー性皮膚炎。現在国民の約1割がアトピーを抱えているともいわれていますが、その治療に根本的な解決方法が見つからず困っている方が多いのが現状です。以前は小児の疾患で大人になるにつれて治っていく疾患でしたが、最近は50歳~60歳代のアトピーの方も増えています。アトピー性皮膚炎のかゆみは我慢が出来るものではなく、時には不眠やストレス障害も起こしてしまい皮膚疾患だけでなくなってしまいます。(店主もアトピー性皮膚炎です)皮膚の炎症の度合い、時期や季節、年齢によって処方を調節します。

アトピー性皮膚炎と漢方

アトピー性皮膚炎は複雑な疾患です。かゆみひとつにおいても、細菌性のかゆみ、ストレスのかゆみ、乾燥によるかゆみが入り混じることが多く、その方によって原因も様々になります。漢方薬だけではなく腸内細菌叢のバランスの改善を目指すようなサプリをとることによって効果を高めることも出来ます。

また生活習慣もとても大切になり、夜更かしやインスタント食品、乳製品、刺激の強いもの、清涼飲料水、お菓子類も摂り過ぎないよう気をつけなければいけません。アレルギー疾患は長い付き合いになります。悪化と緩解を繰り返しながらの改善になりますので、一喜一憂せず長い目で見て改善を目指しましょう。

炎症期

強い炎症がある場合、まず炎症を抑える必要があります。苦みが強い生薬を含む処方によって炎症を抑え、身体の余分な熱を取ります。見た目にも赤みが強い場合にとる方法です。またかゆみも強い場合が多く、細菌が皮膚上に繁殖している場合は抗菌作用のある生薬を含む処方を服用します。

炎症が収まり次第次のステップへ進むことが多い時期になります。


緩解期

炎症は残っているものの赤みがある程度収まっている状態で、炎症を取りつつ根本治癒を目指す時期です。幼少期の場合は脾(ひ:中医学でいう消化器官)を中心に立て直す処方を用います。脾の動きを改善したり、消化を助ける処方を使うことが多くなります。

また成人の場合はストレスを除去する処方を用いることが多く、ストレスによるかゆみを起こさない方法も用いることがあります。


安定期

ほぼ炎症が見られず、皮膚の栄養不良状態が続き乾燥によるかゆみが主に見られる時期です。炎症の対処はひどいときのみで、根本治療が主になります。「脾」の機能や器質を改善し、免疫の根本の臓器である「腎」の改善を目指します。「腎精」を補い免疫の誤作動を起こしにくい身体になるよう、体質改善を目指します。